【獣医師コラム File:6】犬が健康に過ごすための環境作りのポイントは?
佐野先生コラム1

最近、「どうしたら愛犬が健康に過ごせるんだろう」って考えることが多いんです。獣医さんから見て、犬が健康に過ごすために必要なことってありますか?

お!ワンちゃんにとって、とっても良いことを考えているのですね。

 

佐野先生コラム2

今回は、ワンちゃんが健康に過ごすための環境の整え方についてお話をしましょう。

まず、それぞれのポイントをお話する前に、「国際的動物福祉の5つの自由」という言葉ご存知ですか?

 

佐野先生コラム1

国際的動物福祉の5つの自由…?初耳です。

そうですよね。なかなか馴染みがないかもしれませんが、基本的であり、大切なことが書かれているんですよ。その内容をご説明します。

 

犬が健康に過ごすための5つのポイント

1.飢えと渇きからの自由

飢えと渇きからの自由

  • その動物にとって適切かつ栄養的に十分な食物が与えられていますか?
  • いつでもきれいな水が飲めるようになっていますか?

2.不快からの自由

不快からの自由

  • その動物にとって適切な環境下で飼育されていますか?
  • その環境は清潔に維持されていますか?
  • その環境に風雪雨や炎天を避けられる快適な休息場所がありますか?
  • その環境に怪我をするような鋭利な突起物はないですか?
  • 3.痛み・傷害・病気からの自由

    痛み・傷害・病気からの自由

    • 病気にならないように普段から健康管理・予防はしていますか?
    • 痛み、外傷あるいは疾病の兆候を示していませんか?
    • そうであれば、その状態が、診療され、治療されていますか?

    4.恐怖や抑圧からの自由

    恐怖や抑圧からの自由

    • 動物は恐怖や精神的苦痛(不安)や多大なストレスがかかっている兆候を示していませんか?
    • そうであれば、原因を確認し、的確な対応が取れていますか?

    5.正常な行動を表現する自由

    正常な行動を表現する自由

    • 動物が正常な行動を表現するための十分な空間・適切な環境が与えられていますか?
    • 動物がその習性に応じて群れあるいは単独で飼育されていますか?
    • また、離すことが必要である場合には、そのように飼育されていますか?

     

    佐野先生コラム1

    へぇ~!ちょっと堅苦しいですけど…確かに犬が健康でいるために、大切なことですね。

    ちょっと堅苦しい、難しい話から入ってしまい、すみません(笑)
    でも、このように、動物を「飼育する」「一緒に暮らす」ためには色々なことに配慮しなければならないこと、愛犬家の皆様には知っておいて欲しいと思います。

     

    佐野先生コラム1

    はい!しっかり意識して、飼育します。

    犬が健康に過ごすため環境の整え方

    さて、ワンちゃんと一緒に過ごす上での快適な環境 は人が快適である環境を維持するというの形が基本になるかと思います。

     

    佐野先生コラム2

    暑すぎず、寒すぎず、ジメジメしすぎず、乾燥しすぎず・・・・を基本と考えてください。

    佐野先生コラム1

    人間が快適と思う環境が、犬にとっても大事なんですね。

    子犬やシニア犬では急激な変化に対応する能力が弱いですので、これも人の赤ちゃん、ご老人のための環境整備というのを意識していただくのが大切です。

     

    佐野先生コラム1

    子犬やシニア犬は特に注意が必要…と。うちは高齢になってきているので、気を付けなくっちゃ!

    成犬ならば気にしなくていいか?というとそういうことでもなく、基本的な快適さは皆さんの生活の環境での快適さを意識していただき、もし持病のようなものがあれば、それに合わせた調節(心臓や呼吸器が悪ければ、適度な湿度を保つ、皮膚が悪ければこまめに掃除しアレルゲンとなる物質を取り除くなど)を行っていただくのが良いかと思います。

     

    佐野先生コラム1

    はい、まずは人間の生活環境の快適さを意識します。持病に合わせた調節もポイントですね。

    赤ちゃんがハイハイしても大丈夫?

    家の環境整備は、歩き回るようになった赤ちゃんのいる家庭 をイメージするといいかもしれません。

     

    佐野先生コラム2

    ワンちゃんの目に入る、口が届く、探したくなるような欲求をかきたてるような物の配置などを避けるようにしてください。

    佐野先生コラム1

    床にモノがあったりすると、危険ですね!

    犬の健康維持には、家具や床の選び方も重要

    佐野先生コラム2

    そうですね。電源コードの配置(隠す)なども重要ですし、高いソファー、滑りやすい床、角の尖ったテーブルなどには注意が必要です。

    佐野先生コラム1

    えぇ~!ソファの選び方もあるんですか?

    足の細い活発なワンちゃんはソファーから飛び降りた拍子に前足の骨を骨折する というようなこともよくあります。
     
    ミニチュア・ダックス・フンドちゃんのような腰の弱いと言われる犬種は、滑る床で椎間板ヘルニアなどを発症してしまうことも多いです。

     

    佐野先生コラム2

    危険なものが目に(口に?)つかないように、普段の活動が危険とならないように、まさに「赤ちゃんのいる家」のような整備はおすすめです。

    佐野先生コラム1

    骨折や椎間板ヘルニアのリスクもあるなんて…犬を飼った責任として、家庭内整備もしっかり行うことが重要ですね。

    佐野先生コラム2

    素晴らしい気づきですね。

    食事のあげ方・食器の配置にも注意

    また、シニアの子や、ちょっと体調が悪い子の場合には、食事のあげ方、食器の配置などにも配慮してあげるといいかもしれません。
     

    • 食器を床に直に置くよりは、少しだけ高く配置できるような工夫
      (今は、ワンちゃん用の食器置きなどもありますが、園芸用の鉢植え置きなどでの代用も可能です)
    • 食欲が湧かない場合、お湯でふやかす、電子レンジで温めるなどして、匂いを強くする工夫
      (食欲が刺激されることも多いです。コミュニケーションのために、手から直接あげるというのも、とってもおすすめです!)

     

    佐野先生コラム1

    食器直置きしてました…気を付けます。また、フードを温めることで匂いを強くできることも知りませんでした!
    食欲がないときに、やってみます!

    健康に過ごすための散歩の仕方

    佐野先生コラム2

    お散歩中のオススメの環境作りもありますよ。

    まずは「いつものコース」をじっくり散歩させてあげることです。ワンちゃんは縄張りを意識して自分の匂い、他の子の匂い、他の動物の匂いをたくさん嗅ぎながらお散歩をします。

     

    佐野先生コラム1

    確かに、散歩中よくフンフン匂いを嗅いでいます。

    いきなり、全く知らない匂いのするところに行くのは、そのようなトレーニングをしてある子であれば楽しいことも多いですが、そうでない子は不安の方が大きくなることがあることを忘れないであげてください。

     

    佐野先生コラム1

    いつも同じ散歩のコースだと、退屈になると思い込んでいました。教えてもらえてよかったです!

    それよりも、心身ともに健康的に散歩を楽しむポイントがあるんです。
     

    • 散歩の中で〇〇(ワンちゃんの名前)を呼んであげて、飼い主とのコンタクトを楽しむ
    • 時に立ち止まり「葉っぱが綺麗だね」「可愛い子がきたね」「大きな子がいるよ」などの語りかけをしてあげる
    • ちょっと動きを変えてみる
      (ちょっとだけ走ってみたり、ジグザグに歩いてみたり・・・)

     

    佐野先生コラム2

    普段の散歩にちょっとのスパイスを加えてあげて、一緒に散歩を楽しんでいただけたらいいと思います。

    佐野先生コラム1

    目を合わせる・声掛けをする・動きに変化をつける、どれも簡単に取り入れられそうなことばかりですね!今日からやってみます!

    心身ともに健康でいるには、飼い主とのふれあいが一番

    ワンちゃんにとっての快適な環境 は飼い主様である皆様が快適であることと一致する部分が多いです。
     
    その上で、少しだけ細かな配慮(変なものを口にしないように、飛び降りたり滑ったりして怪我をしないように)をしていただき、毎日のお散歩は「一緒に楽しむ」ことを忘れないでください。

     

    佐野先生コラム2

    ワンちゃんは、大好きな飼い主様とのコンタクト、コミュニケーションが何より幸せなのです!

    佐野先生コラム1

    わかりました!室内環境の整備はもちろん、飼い主とのコミュニケーションを増やして、愛犬が健康に長生きできるようにします。
     
    佐野先生、また次回もよろしくお願いします!

    佐野先生コラム2

    次回は、みんなが気になる「犬の嘔吐」についてお話しましょう!

佐野忠士先生

酪農学園大学 獣医学群 獣医学類 獣医麻酔学ユニット 准教授

小さい頃から生き物が大好きで、獣医師になる!という宣言を小学3年生の時にした時には両親はもちろん、親戚一同も「ただしなら・・・」と全員が納得! 獣医師になってからも動物好きは変わらず、どんどん深く深くの愛情へと・・・ 今は、縁の下の力持ち 的な 麻酔管理、疼痛(とうつう)管理、集中治療管理と人間の言葉を話せない動物たちの苦痛を取り除く分野の専門家として働けることを 誇りに思っています!

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