佐野先生!うちのワンちゃん、もうすぐ10歳になるんです。シニア犬と過ごす上で、気を付けることを教えてください。
近年、人も犬も「超高齢化」社会を迎えており高齢のワンちゃん、猫ちゃんに出会う機会が非常に増えています。
犬にも高齢化社会があるんですね…
私の勤務する大学附属動物医療センターでも、10歳とか13歳とかの子に麻酔をかけて手術を行うことが珍しくない状況が多いです。 では、実際にワンちゃんや猫ちゃんは何歳からが高齢と考えればいいのでしょうか?
うーん、10歳くらいからですか?
実際「高齢」を定義する年齢は決まっていて「その個体の寿命の75%を経過した動物」を高齢としております。しかし、その人、その動物の寿命は「その動物が生まれてから亡くなるまでの年齢」になりますので、亡くなってみないと正確な寿命は分からないのです。
えっ!亡くならないと正確な寿命がわからないんですか⁉
なので、一般的には平均寿命から算出される年齢が高齢の年齢を決めるものとなります。少し難しい話ですね・・・。こう考えると、ワンちゃんも猫ちゃんも7〜8歳を超えてきたら「高齢」と考えて、気にかけてあげるのがいいでしょう。
7~8歳から高齢と考える…なんだか、今までのシニア犬のイメージよりも若い年齢に感じます。
しかし、人でもそうですが「実際の年齢より若く見える」「実際の年齢より歳をとって見える」ということはよくあることです。高齢のもう一つの定義「臓器や身体能力の予備能力の低下する年齢」を意識し、実際の○歳という年齢よりは体に生じた変化に気づいてあげることを意識してあげてください。
具体的には、どのようなことに注意したら良いでしょうか?
健康なシニアでいるために注意すべきことは、人とワンちゃんで同じです。 重要なポイントとしては年齢にあった正しい栄養を適切に摂取し、適度な運動を継続し、ストレスを少なく生活することです。
人間も運動や栄養管理が大事ですもんね。ワンちゃん特有のポイントはありますか?
キーワードは「年齢にあった」「適切な」です。動物はその字の示す通り、動くのが当たり前、普通です。歳をとっても、小型犬であっても、常に室内で飼われていても「動くこと」の機会を作ってあげることは健康な体づくり、健康な精神作りにとって非常に重要なこととなります。
室内犬でも、動くことは重要ですね。運動、頑張ります!
あ、でもちょっと待ってください!シニア犬が運動するときのさらに大切な注意点があるんですよ。
若い頃と比べて、高齢になると代謝は落ちますし、筋肉量も運動量も落ちますので、無理な食事の摂取、無理な運動は控え、その子その子にあった「適切な」運動を継続するよう心がけてください。
「運動が大事だから」といって、無理な動きをさせるのはNGなんですね。危ないところでした…!
また、歳をとってから食事があまり進まない子は、食事の量を減らし、回数を増やして胃腸に負担がかからないようにすると良いです。ドッグフードをふやかすと、シニア犬にとっては食べやすくなりますよ。
食事のあげ方も変えるんですね。今後食が細くなってきたら、今あげているドッグフードの「ナチュロル」も、少量にして回数を増やすことから始めてみます。
適切な運動は、運動を繰り返すことでしか発見することはできません。 物足りなさがなく、運動後の疲労度も適切な運動量と方法をぜひ、一緒に見つけてあげてください。
佐野先生、今日もありがとうございました!愛犬が長生きするために、適切な運動や栄養管理を心がけます。