【獣医師コラム File:15】犬の口臭の原因と対処法!病院に連れていく基準や日常生活での予防も

お口の状況はワンちゃんの健康状態を表す大事なバロメーター!!
 
今回は、気にされておられて、心配でもあるけど、なかなか上手くいかないで悩まれていることの多い「ワンちゃんの口臭」について皆さんと考えていきたいと思います。
 

佐野先生コラム1

先生、うちの子、最近口臭が気になるんです。

佐野先生コラム2

「目は口程に物を言う」とはよく言いますが、ワンちゃんの場合、非常に大事なコミュニケーションに「口」がありますね。

犬の口臭は放っておいて大丈夫?

佐野先生コラム1

そもそも、犬の口臭ってなぜ起きるのでしょうか。食べた物のニオイとも違うような気がします。

”臭い”(ニオイ)というものは、成分そのものが有する臭気のことで、本来、特に口にするようなものは異臭や刺激臭はしないのが普通です。
例えば、人間の赤ちゃんのお口の匂いって、母乳やミルクの匂いしかしないですし、ワンちゃんの赤ちゃんも同じようなことが言えます。
口のニオイが気になってくるということは、口内の本来の成分ではないものがそこにあり、おかしな状況になっていることに他なりません。
 

佐野先生コラム2

ここで大事なのが、「おかしな状況」という言葉です!

例えば、食べ物を食べた後であれば、その食べ物の匂いはするかもしれませんが、それが「変なニオイ」となることはあまりないと思います。
よだれが多くても、それが「変なニオイ」と感じることはないはずです。
 
口臭という「変なニオイ」に感じるということは、必ずそこには
 
「お口の中の環境が変な状況になっている」
 
ことを示す状態がある、ということをまずは認識してくださいね。

 

佐野先生コラム1

はい!口臭は異変のサインということ、覚えておきます。

犬の口臭の原因を知ろう

犬の口臭は放っておいて大丈夫?

犬の口臭は、病気の可能性も。気づいたときには手遅れなことも?
 

佐野先生コラム1

ところで、犬の口臭にも強いものもあれば軽いものもありますよね。どの場合も危険信号と思ったほうがいいのでしょうか。

佐野先生コラム2

まず、口臭に限ったことではないのですが「ニオイ」に関して覚えておいていただきたい大事なことがあります。それは「人はニオイに慣れる!」と言うことです。分かりますよね?

 

嗅いだことのないニオイを嗅いだり、変なニオイを嗅いだ時には「ん?」「うわ!」とかいろいろな程度で臭気を感じますが、少し時間が経つとそのニオイは「全く」と言っていいほど気づかなくなります。
これはご自宅の部屋の匂いとか、玄関の匂いのような、なんとなく「その人の生活臭」というものを、他の人の家にお邪魔した時に感じる、というのが分かりやすい例えかも知れません。
物凄いニオイ(ということはあまりないかも知れませんが)や、強い芳香剤の匂いなどはいつまでも気になるかも知れませんが、お邪魔しているうちに何も感じなくなる、それほど気にならなくなるというものです。
 
つまり、人は嗅ぎ慣れたニオイには非常に鈍感になります。

 

佐野先生コラム1

ということは、口臭も!

佐野先生コラム2

ええ。毎日一緒に暮らしている、可愛いワンちゃんのお口がくさいと感じるということは……
それは、それは、他人からしたら「うわぁ!」と言いたくなるかも知れない程度の「ニオイ」かも知れないのです。

 

なので、ワンちゃんの口臭が気になった場合には、理由や原因はいろいろあると思いますが「お口の病気(トラブル)」「お口関連の病気(トラブル)」であると判断してかかりつけの先生に相談してみることをお勧めします。

犬の口臭の原因は?

佐野先生コラム1

犬の口臭が気になったら獣医さんに相談、ですね!
病気やトラブルの原因はどんなものがあるんでしょうか。

佐野先生コラム2

口臭の原因となる代表的なものには、以下のようなものが挙げられます。

口臭の原因の例

  • 食べ残し
    食事直後であれば食べたものの匂いしかしないはずです。
    長い間、食べ残しがお口の中に残ってしまって変性(へんせい)してしまうと「変なニオイ」を発するようになります。
  • 口腔内の炎症
    一番多いのは歯肉(歯茎)の炎症です。
    食べ残しが長く残っていることで歯肉炎になり、歯周病になり……。炎症により唾液の成分が変化してしまい「変なニオイ」がするようになります。
  • 歯垢・歯石
    歯垢や歯石そのものはもしかしたら、それほど臭くないのかも知れません。
    が、歯垢や歯石が歯に付着するというのは、昨日、今日の短期間では起きません。
    付着するまでの間、食べ物が残り続けるようなお口の環境が続いていて、唾液の成分の変化が続いている。
    それによって歯肉の炎症が進んでいる、というような、長時間の「おかしな状況」を意味しています。
    つまり、歯垢や歯石の蓄積は「お口の異常状態の長期経過」のサインであることを忘れないでください。
  • 口の中の腫瘍
    口の中にできる腫瘍は悪性のものが多いです。
    最初は気づかないこともよくあるのですが、食べ物を食べこぼすようになった、飲み込みづらそうだ、おもちゃや水に血が混じる、など、いろいろな状況で気づくケースが多いようです。
    血なまぐさいような、生ゴミの強烈なニオイのような「まさに異臭」を放つことが多々あります。
    かなり大きくならないと気づかないことも多いので、これらも含めてお口のケアは重要であると言えるでしょう!
佐野先生コラム1

たかが口臭と言っていられませんね!先生、こうなる前に予防する方法を教えて下さい!

犬の口臭の対処・予防法~おうちでのケア~

犬の口臭の対処・予防法~おうちでのケア~

佐野先生コラム2

まずは毎日のお口のケアの大切さを、飼い主の皆様には認識していただきたく思います。

これからワンちゃんを飼い始める、または飼ったばかりでちょうどしつけやトレーニングの真っ最中である、という方々は、今、まさに、この記事を読んだその時から「歯磨きトレーニング」を開始してあげてください!

 

佐野先生コラム1

口臭対策の第一歩は歯磨きからですね!でも、歯磨きが苦手なワンちゃんも多いと思うんですが……。

佐野先生コラム2

人の子供も同じなのですが、「お口をきれいにするために歯磨きしなさい!」と無理やりやると、歯磨きが嫌いになってしまいますね。
それに元来、人間は「怠け者」なので、一回くらい歯を磨かなくても死なないだろう、と考えて「サボろう」という意識が働いてしまいます。

 

ワンちゃんの場合も同じで、「お口の病気になったら大変だから、しっかり歯磨きしないと!!」と意気込んで、気合を入れてやると、ワンちゃんもそれを察して逃げるように、嫌がるようになってしまいます。それに飼い主さんも毎回嫌がられると、「今回はいいか……」とサボる言い訳を作り、その上で続けるのには物凄い強い意志と精神力が必要になってしまいます。

 

佐野先生コラム1

それ、まさに我が家のことです……。

なので、子犬の時から「遊びの感覚」徐々に徐々に指や歯ブラシ、口の中への操作に慣れるようにしていくことが大切です。

「遊びの感覚」歯磨きステップアップ

飼い主さんの指を口周りに持っていく
⇨マズルを撫でる
⇨お口の中に指を突っ込む
⇨お口を開けさせる
⇨歯ブラシで遊ぶ
⇨歯ブラシで歯を触る
⇨開けた口に歯ブラシを当てる
⇨歯ブラシを口の中で動かす
 

 

佐野先生コラム2

最初は、できた時のご褒美にオヤツなどをあげてもいいですが、徐々に徐々に飼い主様の褒め言葉と「ナデナデ」が最高のご褒美に持っていくことも大切です。これは歯磨きに限らず全てのしつけ・トレーニングに言えることですよ。

佐野先生コラム1

歯磨きは、以前のコラムでも教えていただきましたね。もう一度読み直そうっと。

歯ブラシに慣れたら、必ず、
 
毎回のご飯の後の一日最低2回は、歯ブラシをするようにしてあげてください。
 
また、月に1回くらいはお口を大きく開けて、歯茎の赤くなっているところがないか?腫れているところ、血が出ているところはないか?歯が欠けたり抜けたりしているところはないか?
などをチェックしてあげてください。

 

佐野先生コラム2

普段、きちんとやらせてくれるのに触るのを嫌がる、というときは、お口が痛いなどお口のトラブルを示す重要なサインです!

佐野先生コラム1

日々の犬の口臭対策が、病気を防いだり早く発見することにもつながるのですね!

犬の口臭の予防法~病院でのケア~

佐野先生コラム1

毎日の口臭対策の中で、気になる点があったらどうすればいいでしょうか。

佐野先生コラム2

お口の異常を感じたら、まずはかかりつけの動物病院でお口のケアの相談をしてもらうといいですよ。

 

病院では大人しくお口を触らせない子の場合、お家で飼い主様がお口を開けさせて、お口の状態をスマホなどで撮影して持っていくといいでしょう。
お家でもさせない、病院でもダメとなった場合には、覚悟を決めて(と言うほど大袈裟ではないのですが)、一度、麻酔をかけて「しっかりと」お口の検査とケアをすることをお勧めします。

 

佐野先生コラム1

え、全身麻酔をかけて、ですか!?

佐野先生コラム2

全身麻酔と聞くと非常に心配になるかも知れませんが、お口の中に大きな問題があって手遅れになってしまうこと、その後もずっと口臭と付き合いながら生活をすることを考えたら、それほど大きな・重大な覚悟ではないかも知れません。

もちろん、かかりつけの先生の判断で麻酔をかけられる/かけられない、は決まってくると思いますので、もし麻酔ができない と判断された場合には、根本的な診断・治療ではない方法についても相談ができると思います。

 

佐野先生コラム2

とにかく、口臭が気になったら、まずはかかりつけの動物病院へ!を合言葉としましょう☺

 

動物病院でのしっかりとしたお口のケア(例;全身麻酔をかけての歯石除去、トリートメント、歯肉ケアなど)の後には、歯磨きに合わせて口臭対策のサプリや口腔ジェルなども継続して使用していただくと、お口の健康状態をより良好に保ちやすいかもしれません。
 
もちろん、それだけで重い病気が防げるものではありませんので、製品の特徴を見極めて、あくまでもお口ケアの一貫というような位置づけで考えてくださいね。

 

佐野先生コラム2

このサイトを見て、この記事を読んでくださっている皆様方は、非常に意識も高く、また「正しい情報」を求めていらっしゃる方々であると思います。
これからも「正しい情報」提供にご協力できればと思いますので、遠慮なく「聞きたいこと」をあげていってくださいね!!

犬の口臭のまとめ

佐野先生コラム1

一口に犬の口臭と言っても、そこには病気やトラブルが隠れている可能性も!軽く考えず、日々の歯磨きや獣医さんのサポートがとっても大切だという事がわかりました!

 

歯磨きが苦手な我が子にも、楽しく慣らせてあげて毎日の習慣にしたいと思います。
 
佐野先生、今日もありがとうございました☆

佐野忠士先生

酪農学園大学 獣医学群 獣医学類 獣医麻酔学ユニット 准教授

小さい頃から生き物が大好きで、獣医師になる!という宣言を小学3年生の時にした時には両親はもちろん、親戚一同も「ただしなら・・・」と全員が納得! 獣医師になってからも動物好きは変わらず、どんどん深く深くの愛情へと・・・ 今は、縁の下の力持ち 的な 麻酔管理、疼痛(とうつう)管理、集中治療管理と人間の言葉を話せない動物たちの苦痛を取り除く分野の専門家として働けることを 誇りに思っています!